こんにちは。不動産投資家のまさどん(@masadon-fudosan)です。
2020年から不動産投資を始め、アパート4棟・戸建4戸を所有しています。(2022年3月現在)
今回は、生活保護受給者を受け入れる大家が知っておくべきことついて詳しく解説します。
・そもそも生活保護って何?
・生活保護受給者を受け入れて大丈夫?どんなトラブルがよくあるの?
・生活保護受給者を受け入れるメリットは?
・一般的な入居者と何が違うの?
・生活保護受給者向けのアパートを買う時の注意点は?
・生活保護受給者を受け入れるのはオススメできる?
アパート1号の入居者は、生活保護受給者です。
実際に受け入れてみた経験をもとに書きました。
この記事をご覧いただくことで、
生活保護受給者を受け入れるメリット・デメリットが詳しくわかるようになります。
気になる人は、続きをご覧ください。
生活保護の制度
生活保護の概要
生活保護は、経済的に困窮している人に対して当面の生活費を支給する国の公的扶助制度です。
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
厚生労働省 生活保護制度 制度の趣旨
生活保護の要件
厚生労働省の公式サイトには、以下ように書いてあります。
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提…(以後、省略)
厚生労働省 生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容
- 資産の活用:預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。
- 能力の活用:働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。
- あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。
- 扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
つまり、このように解釈することができます。
以下のような条件に該当する人は、生活保護を受けやすいと言えるでしょう。
- 資産:預貯金や不動産などの資産がない。
- 能力:病気や障害などが原因で、働きたくても働けない。
- 他制度:年金制度や国の公的融資など他の制度を利用しても生活費が足りない。
- 扶養:親族等から援助を受けることができない。
扶助の内容
厚生労働省の公式サイトには以下のように書いてあります。
生活保護費として受給できる扶助の具体的な内容です。
不動産投資では、住宅扶助が関わってきます。
住宅扶助の対象と対象外
生活保護事情に詳しい不動産屋に聞いたところ、住宅扶助の対象となる項目を、以下のように教えてもらいました。
「住宅扶助の対象・対象外」は、細かく決まっています。
住宅扶助の対象
- 家賃(地域によって異なるが、上限あり。)
- 敷金礼金
- 引っ越し費用
- 火災保険料
- 契約更新料
住宅扶助の対象外
- 水道光熱費
- 家電製品(洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器など)
- 自ら進んで退去した場合は、全て対象外
- 都道府県を越えて転居する場合は、全て対象外
「住宅扶助の対象」に該当する項目は、税金からまかなわれるため、入居者や大家、不動産屋の負担は一切ありません。
一方で「住宅扶助の対象外」は、基本的には入居者負担になるため、この費用がネックとなって客付けできないケースがよくあります。
生活保護受給者を受け入れるメリット
生活保護を受け入れるメリットは、以下のとおり。
- 家賃相場よりも高い家賃がもらえる
- 家賃滞納のリスクがない
- 仲介業者へ支払う広告料が、実質負担なし
- 長期入居の可能性が高い
- 駐車場が無い物件でも問題なし
①家賃相場よりも高い家賃がもらえる
生活保護受給者からもらえる家賃=住宅扶助の上限額 となります。
物件によっては、生活保護受給者に住んでもらうことで、家賃相場よりも高く家賃がもらえることがよくあります。
私の事例です。
家賃相場月1.8万円の部屋が、生活保護受給者に住んでもらうことで月3.2万円の家賃になりました。
②家賃滞納のリスクがない
入居者からではなく、行政から直接納付してもらうことができます。
これによって、確実に家賃を集金できるようになるので、家賃滞納のリスクがありません。
③仲介業者へ支払う広告料が、実質負担なし
住宅扶助で大家がもらう敷金礼金を、そのまま仲介手数料と広告費(AD)に充てることで、実質負担ゼロにできます。
④長期入居の可能性が高い
一般的に、終の棲家として部屋を選ぶ方が多いので、一度住んだら最期まで入居されることが多いです。
つまり、長期入居となる可能性が高いです。
⑤駐車場が無い物件でも問題なし
生活保護受給者は車(資産)を持てないため、駐車場が無い物件でも問題ありません。
生活保護受給者を受け入れるデメリット|よくあるトラブル
生活保護を受け入れるデメリットや、よくあるトラブルは以下のとおり。
- 孤独死のリスクがある
- 突然の退去が考えられる
- 近隣住民とのトラブルが起こるリスクがある
- 一般の入居者が嫌がる可能性がある
①孤独死のリスクがある
生活保護受給者の入居者は、60代以上が多いので、部屋の中で独りで亡くなり、しばらく気づかれない可能性があります。
しばらく気づかれずに放置されてしまった場合、特殊清掃やリフォーム、残置物の片付けに相当な費用と時間がかかることになります。
私の事例です。
過去に孤独死が発生しました。9月下旬に3週間放置することになってしまいましたが、特殊清掃は不要で通常のリフォームで済みました。
1Rの間取りですが、リフォームにかかった費用は約16万円、次の入居者募集ができるまで約4ヶ月かかってしまいました。
孤独死に対するリスクヘッジとして、孤独死保険に加入しましょう!
1戸当たり約300円/月なので、加入することをオススメします。
あわせて読みたい
火災保険加入する時の注意点や、保険の選び方について詳しく解説しています。
【不動産投資】大家が入るべき火災保険|戸建・アパート(木造・重鉄・RC)の保険料を公開②突然の退去が考えられる
生活保護受給者の中には、長年刑務所生活をした後に出所された人もいます。
そのような人を受け入れる場合、逮捕により突然、退去となる可能性もあります。
私の事例です。
入居者がスーパーで窃盗をしてしまったため、突然の退去となったことがあります。
③近隣住民とのトラブルが起こるリスクがある
ゴミ出しのマナーを守らない、奇声を上げる、など近隣住民とトラブルが起こるリスクがあります。
特に精神障害がある人や前科がある人を受け入れる場合は、そのようなリスクを想定しておきましょう。
④一般の入居者が嫌がる可能性がある
同じアパート内に、一般の入居者と生活保護受給者が混在する場合、一般の入居者に退去される可能性があります。
生活保護受給者向けのアパートを買う時の注意点
生活保護受給者向けのアパートを買う時は、以下の点にご注意ください。
- 人口が多いエリアを選ぶ
- 生活に便利な、好立地を選ぶ
- 利回りのかさ上げに注意
①人口が多いエリアを選ぶ
県庁所在地のような、人口が多いエリアではないと、需要が小さいです。
不動産屋から、以下のように言われました。
・県庁所在地では、生活保護受給者向けの賃貸物件はニーズがありますね。
・人口15万人程度の地域では、あまり期待できないと思います。
②生活に便利な、好立地を選ぶ
生活保護受給者は、車が持てません。
なので、移動手段は徒歩や自転車になるため、生活に必要な施設が近くにある場所を好まれます。
例えば、このような施設。
- 役所
- 病院
- スーパー
- 金融機関
- 駅
- バス停など
③利回りのかさ上げに注意
一般の入居者が住む家賃相場よりも、家賃を高くできる場合があります。
例えば、1R3点ユニットの物件の場合、一般学生であれば家賃相場が1.8万円になるところ、生活保護受給者であれば家賃3.2万円にすることが可能になります。
1R3点ユニットのボロアパートを安く仕入れて、生活保護受給者で満室にして転売する
というスキームがありますので、ご注意ください。
生活保護受給者向けに賃貸募集する時の注意点
生活保護受給者向けに賃貸募集する時の注意点は、以下のとおり。
- 生活保護に慣れている管理会社を選ぶ
- 生活保護に強い不動産屋に客付け依頼をする
- 入居者に家電4点をプレゼントする
①生活保護に慣れている管理会社を選ぶ
生活保護に慣れている管理会社を選ぶことをオススメします。
その理由は以下のとおり。
- 役所の福祉課や生活保護に詳しい賃貸仲介の不動産屋の強いパイプがあるため、客付けしやすい。
- リサイクルショップや格安リフォーム業者など、関連機関との強いパイプがあるため、入居者受け入れのコストが安くできる。
②生活保護に強い不動産屋に客付け依頼をする
生活保護の対応は、一般の入居者と違って特殊であるため、慣れている不動産屋に訪問して、客付け依頼をしましょう。
役所近くの不動産屋が慣れていることが多い印象があります。
その理由は、役所で生活保護の申請するついでに、役所近くの不動産屋に部屋探しの相談に行かれるためです。
③入居者に家電4点をプレゼントする
家電は住宅扶助の対象外です。
生活に必須である以下の4点をプレゼントしましょう。
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 電子レンジ
- 炊飯器
中古でも問題ありません。
家電製品を用意する大家は少ないので、他の物件と差別化ができます。
事例紹介|生活保護受給者向けに1年間アパート経営した感想
生活保護受給者向けに1年間アパート経営した感想
できれば買いたくありません。
その理由は以下のとおり。
- 入居の入れ替わりが激しい
- 入居者のトラブルがよくある
入居の入れ替わりが激しい
2021年12月から2022年3月現在まで、生活保護受給者向けのアパート経営を行っています。
全8戸の小さいアパートですが、今まで4部屋の退去があります。
4部屋の退去理由は以下のとおり。
- 2部屋:入居者死亡(孤独死×1、病院にて死亡×1)
- 1部屋:入居者逮捕
- 1部屋:外国人が母国へ帰国
※8部屋のうち1部屋だけ、法人契約(外国人労働者向け)でした。
入居者のトラブルがよくある
上記のように、孤独死や入居者の逮捕というトラブルが発生しています。
基本的に入居者は高齢者ですので、終の棲家というつもりで部屋を借りられます。
また、長年刑務所で生活されていた方を受け入れるので、トラブルが発生しやすいです。
ちなみに、私のアパートの入居者は、スーパーでシウマイを窃盗して逮捕されました。
逮捕されると生活保護の受給資格がなくなってしまいます。
アパートのスペックや、アパートを買う時の様子を紹介しています。
【はじめてのアパート投資】生活保護受給者向け|利回り16.4%の事例まとめ
生活保護受給者を受け入れるメリット・デメリットを解説しました。
生活保護受給者を受け入れるメリットは、以下のとおり。
・家賃滞納のリスクがない
・不動産屋へ支払う広告料が、負担ゼロ
・長期入居の可能性が高い
・駐車場なしでもOK
一方で、生活保護受給者を受け入れるデメリットは、以下のとおり。
・突然の退去が考えられる
・近隣住民とのトラブルが起こるリスクがある
・一般の入居者が嫌がる可能性がある
生活保護受給者の受け入れを検討されている人にとって、参考になれば嬉しいです。
今回は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!